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王太子とヴァキアンの姫君 (2)

 一方弟を笑顔で二の大臣に引き渡したジャーリスは、彼らが去った瞬間実に苛々とした表情に変わった。

 奴隷たちを皆下がらせた後つと立ち上がり、居間の隣にある彼女しか入れない小部屋に入る。
 扉を閉めた後、小さく口の中でなにごとか呟く。これでもう外から開けることは出来ない。
 部屋の中には椅子と、銀盤の置かれた小さな机だけがあった。天井も低く、窓もない。
 「出てきて」
 彼女は銀盤に向かって言った。
 その言葉に反応して銀盤がふわっと光り、中から女魔神(ジンニーア)があらわれる。
 「どうしたの、ジャーリス。機嫌が悪そうね」
 「その通りよ」
 ジャーリスは苦々しく言って椅子に座る。
 「また、弟?」
 「それもそのとおりよ。あなたの名は?」
 「 ― シャムスエンナハール」
 苛々しながらも名を取ることは忘れなかった。これを取り忘れると、どんなに親しい魔神でも油断のならない相手になる。
 果たしてそのシャムスエンナハールと名乗った女魔神は、くるっと回ってやや残念そうな顔をした。
 「御前会議をさぼろうとして、わたくしにかくまって欲しがったのよ。あり得ないわ!何でさぼらなければならないの?せっかく出られるのにさぼるなんて、バカにも程があるわ。あの子が出ないならわたくしが出たいわよ!」
 「御前会議、ねえ…そんなに出たいものなの?」
 「当たり前よ!」
 ジャーリスは語気荒く言い放つ。
 「このレスト・カーンおよびカリューン信徒の国々を動かす大事な御前会議よ。選ばれた者しか参加できないし、直接国が動くところを決められるなんて機会、そうそうあるものではないわ。参加したいに決まっているではないの」
 「そんなに面白そうに思えないけど…」
 「シャムスエンナハールにとってはそうかもしれないけど、わたくしにとっては出たいものなの。そういうものなのよ」
 「よくわかんないけど、変わってるわね。ジャーリスは」
 「レスト・カーン王家に生まれた者としては当然よ。だのにあのバカ弟は…!」
 ジャーリスは第一子とはいえ王女だ。勿論政治には参加できない。
 「このままだとあの子がマジェスティになる。わたくしには女として最高の栄誉、マジェスティーナになる権利もないのよ」
 「姉弟だもんねえ。しょうがないよねえ」
 シャムスエンナハールは淡々としている。ジャーリスの愚痴は聞き慣れているのだ。
 「本当にむかつくわ。あんな子、だいっきらい」
 「むかつくって言葉も、あんまり王女らしくないわね」
 「うるさーい!」
 ジャーリスはぐっと涙をこらえた。

神崎 瑠珠 * 王太子とヴァキアンの姫君 * 23:00 * comments(2) * trackbacks(0) * - -

コメント

こんにちは☆
きゃーーーーっ!!待ってましたーーー(笑)。嬉しすぎます・・。
これからの展開を楽しみにしております!
お願いがあるのですが、コチラのブログも、当へっぽこブログの作品ページにリンクをはらせていただいてよろしいでしょうか??
Comment by ゆこちん @ 2010/03/18 10:07 AM
あ、ありがとうございます!
そこまで喜んでいただけると披露した甲斐があるってものです(照)。
お待たせして申し訳ありません。ちょこちょこ書いてゆきますー。

ブログ拝見させていただきました。
全く問題なしっていうかとにかく照れました(汗)。
リンクはどこでもありがたがりますので、どうぞご自由に張って下さいまし!

感想いただけてほんとに嬉しいです〜〜。書き手冥利に尽きます!
頑張ります〜〜!!
Comment by 神崎 瑠珠 @ 2010/03/18 10:47 PM
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